2018/09/24

文学に何ができるか──毎日新聞『モラルの話』書評

9月23日毎日新聞書評欄にJ・M・クッツェー『モラルの話』の書評が載りました。評者は沼野充義さん。

 比較的短い7つの短篇から構成されたこの『モラルの話』で、クッツェーが読者に向かって次々と投げてくる直球、豪速球、変化球をどれも逃さず、ジャストミートで打ち返すという離れ業のような書評です。「世界文学」を俯瞰する位置にある沼野さんならではのパースペクティブで、この作家と、この作品の、「世界文学」との関連で、その位置と意味を伝えてくれます。
 これまでにも、中井亜佐子さん、谷崎由依さん、都甲幸治さん、中村和恵さん、田村文さん、とさまざまな視点から心打たれる評を書いていただき、本当に訳者冥利に尽きます。今回は「文学に何ができるかという究極の試みにもなっている」という指摘と、最後の「……こういう難題に取り組む作家のおかげで、文学は存在する価値を持ち続けられる」という結びで締め! これには、感激ということばを超えて、涙です!


(沼野さん、勝手ながら写真をアップさせていただきました!)