JMクッツェーのデビュー作『ダスクランズ』を訳了した。ふうっ!
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この二つのノベラが、たがいにゆるやかな連結で──とクッツェーさんご自身はおっしゃるが、どうしてどうして、18世紀の南部アフリカを、象狩りと称してどかどかと侵略していく文盲の「野蛮な」ヨーロッパ人の強烈なナラティヴと、ヴェトナム戦争時の米国で、エリート青年が心理戦にかかわり神経をすり減らして発狂していくプロセスは、東アジアの列島に住む者が現在の視点でながめやると、たがいに緊密に連鎖し、強く引きあっていることが、びんびんと伝わってくる作品である。
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ここまで書くか、こんなふうに書くか、すごいやと。デビュー作にはその作家のすべてが出る、という定説がやっぱりこの場合もばっちり当てはまりそうだ。
キーワードは、エピグラフに使われたフローベールのことばにあるるように「歴史の哲学」。初訳が出た1994年には見えなかったことも、いまは明らかになっている。だから解説はしっかり書く予定だ。