2014/07/28

イスラエルのガザ攻撃はパレスチナ人が占領を受け入れないことへの復讐である──アミラ・ハス


イスラエルのガザ攻撃はパレスチナ人が占領を受け入れないことへの復讐である。
 ──アミラ・ハス(2014.7.23)

ハマスのロケット弾についてあなたがなんと言おうと、あれは他の民族を支配することを正常とするイスラエルの信念の表層を、少なくとも、かろうじて引っ掻いてみせたのだ。

 狂気には方式がある。イスラエル人の錯乱は、ガザでの復讐の範囲を把握することを拒否しているが、この錯乱には現状に非常に都合のいい理由がある。国家全体が軍隊であり、その軍隊が国家であり、そして両者はユダヤ人の民主的な政府とそれに忠実な報道によって代弁されていて、その四者が共同で回避しているのが甚大な暴露──パレスチナ人が現状を常態と認めることを拒否しているという事実──なのだから。
 パレスチナ人は従順ではない。彼らは適応を拒否している。これまでは、彼らの少数をVIP待遇し、その幾人かに銀行口座がふくらむチャンスをあたえ、想像上のパレスチナ統治のポケットをふくらませる巨額の寄付が合州国とヨーロッパから寄せられ、それでわれわれにとってことは上手くいっていると考えていた。
 ヨルダン川西岸地区の村々で執拗に、断固たるデモンストレーションをしても、それが他民族を支配することを正常とするイスラエル人の信念の表層すら引っ掻くことがなかった。ボイコット、投資引き上げ、経済制裁の動きはわれわれのエゴを少しだけ混乱させはしたが、それではイスラエル人にメッセージを理解したいと思わせるにはまだ不十分なのだ。パレスチナの和解政府はわれわれを次のステップへ踏み込ませようとしているかに見えた。そこにはイスラエルによって命じられた常態のショーを拒否する道へ踏み出す可能性があった。だが、ファタハとハマース内のじつに多くの勢力がそれを支持しなかった。

 そこで次は、ハマースのロケット弾が占領者の安堵を攪乱する番だった。あなたがそれをなんと言おうが、彼らはデモンストレーションや、タプジナ・オレンジドリンクをボイコットしたり、コンサートをキャンセルしたりすることでは不可能だったことに成功したのだ。
 国家、軍隊、政府、そして報道。あなたには目もあり耳もあるのに、あなたは見ようとしないし聞こうとしない。あなたはいまも、われわれがすでに流し、これからも流さなければならないとするパレスチナ人の血が長期の気休めになってほしいと願っている。それでいつものようにわれわれが占領状態へ戻れるといいと願っている。あなたは、これ以上大きな災禍が起きる前に、タイミングよく自分の権限を使うことを拒んでいる──かつてあなたが拒んできたように、ずっと拒んできたように。

 いやはや、あなたは権限をもちたいと思うときその力をもつわけだ。キブツ・ニル・アムのトンネルから月曜日にあらわれた武装ハマース工作員はイスラエル兵の服を着ていた。ハアレツ紙のアモス・ハレルが、野戦指揮官は最初、彼らが兵士なのかテロリストなのか判断がつかなかった、と書いている。「最終的に、ドローン(小型無人機)が撮影した航空写真のおかげで、彼らがハマースの工作員だと分かった」とハレルは書いているのだ。「彼らはカラシニコフを持っていた、これはイスラエル軍が使っていないものだ」と。

 だからドローンが撮影した写真は、操作する者がそうしたければ、じつに精密に撮影できるわけだ。海岸や屋根の上に子供たちがいるかどうかは識別可能なのだ──法務省と軍がどれほど法的アクロバットをやろうと、子供たちを、われわれの爆弾のターゲットにする正当な理由などありはしない。ドローンはまた救急隊が負傷者を引き出すために到着したことも、家族が自分の家から逃げ出したことも認識できる。すべてドローンによって撮影し、クローズアップした写真で見ることができるのだから、爆弾や砲弾を投下する兵士がキーボード上の「殺人」ボタンを押す正当な理由はどこにもない。しかし、どういうわけか、小銃のさまざまな製造元の違いを見分けるドローンの目は、あそこにいる人物が子供であるとか、母親や祖母であると見分けることができない。見分ける代わりに、全員に死刑をあたえるのだ。

 いまこの瞬間イスラエル人であることは、まるでそのドローンのようだ。目がかすむことをあえて選んでいるのだ。主人である国の、善良で快適な生活にしがみついて、その被統治者に邪魔などさせるものかと思っている。防衛大臣のモシェ・ヤアロンはそれを政治言語に翻訳してこう述べる──「和解政府を認めることにわれわれは同意するつもりはないが、検問所のコントロールといった他の協定は受け入れてもいい。(パレスチナ政府首相のマフムード)アッバスは検問所をコントロールするだろうが、彼はガザ地区をコントロールするつもりはないだろう」
 これはわれわれが常套手段として用いるものだ。ガザとヨルダン川西岸地区は切り離されている。ハマースがガザ地区をコントロールしているが、それはあくまでわれわれの支配のもとでであり、ファタハとパレスチナ自治政府が西岸地区内の狭い地区を、われわれの条件に合致したかたちで「統治」しているようなものだ。もしもパレスチナ人がときには飼い馴らされる必要があるなら、われわれは血を流して、さらなる血を流して彼らを飼い馴らすことになるのだろう。イスラエルに平安あれ。

*転載歓迎*

写真は、1枚目がハアレツ紙(7月7日付)。2枚目はガザ東部のシジャイヤ地区(7月28日、撮影:RS

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付記:この記事は基本的にイスラエル人が読者層と考えられる新聞「ハアレツ」に掲載されたものです。イスラエル人記者であるハスがまずヘブライ語で書き、それを英訳したものが英語版ハアレツに載りました。You, We, us, our はそのような設定です。