2010/04/15

南アフリカを知るための60章

今朝、見本が届きました。

南アフリカを知るための60章』(明石書店刊、定価2100円)

 南アフリカの本格的な入門書が出ました。
 表紙には、ホワイトクローバーの花冠をかぶり、額から鼻筋にかけて緑色に、両サイドを赤と青にペインティングした女の子が写っています。隣の、にっこり笑った女の子の顔にも、南アフリカの国旗を思わせるペインティング。

 この本は、歴史、人種、エスニシティをめぐるこの国の成り立ちから始まり、ポストアパルトヘイト時代の政治、世界が注目する経済、ダイナミックに変容する社会、底流をなす文化力、日本と南アとの深い関係、アフリカのなかの南アの位置、となかなかに多様な切り口で、執筆者が思い思いのスタンスから書いています。

 書き手に共通するのは、編者の峯陽一さんのことばを借りるなら、「持続的に南アに関心をもち、仕事というより各人の人生の「こだわり」として、南アという空間に心を寄せて来た」ことでしょうか。長いあいだ、深く、熱くつきあってきた人たちや、これからじっくりつきあっていこうと考えている若い人たちが、それぞれのこだわり方によって、それぞれのテーマで書いています。だから、教科書的な統一感はありませんが、逆にそこが、とても大きな魅力になっています。

「ノーベル賞作家 J・M・クッツェー」について私もコラムを書きました。話は、彼が2006年と翌年の2度に渡って来日したときのことが中心です。

 ぱらぱらとめくりながら、ああ、知らないことが多いなあ、そうか、最近はそういう感じか、あのときはそういうことだったのか、と教えられることが多い内容です。机に向かっているあいだは、手を伸ばせばすぐに取れる位置に置いておく本になりそうです。

 巻末には「南アを知るための読書案内」もついていて、これがめっぽう便利。明日、16日の発売です。

 お薦めです。

南アフリカを知るための60章』