2008/03/08

思い出される、ことばたち──読書、切り抜き帳(3)

 この国では つつましく せいいっぱいに
 生きている人々に 心のはずみを与えない
 みずからに発破をかけ たまさかゆらぐそれすらも
 自滅させ 他滅させ 脅迫するものが在る*

1971年に書かれた、ある詩人のことばを読む。
30余年後のいま、ありありと思いいたる
ことどもを前にして。

 この国を捨てばやとおもふ更衣**

と詠みながら、ついに新たな国境を1度も踏み越えることなく
逝った詩人のことばも思い出される。
もうじき七回忌。

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*茨木のり子
**流火草堂(安東次男)