Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2007/11/09

アディーチェ! アディーチェ! アディーチェ!


 昨日発売の「週刊文春」でこの本が取りあげられました。評者の池澤夏樹氏が、アディーチェの魅力を鋭く柔らかな感覚でじっくりと読み込み、この本の同時代的な意味を明らかにしています。とりわけ、いくつかの短編に出てくる、名前にまつわる人と人の関係の問題を、「誇り」ということばをもちいて的確に指摘していたことが嬉しかった。訳者としてはとても励まされる評でした。
 Muchas gracias!
 せっかくなので、中日新聞/東京新聞に書いた拙文を、ここに移動します。
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 いま一度、C・N・アディーチェ(Chimamanda Ngozi Adichie)のことを。
 この9月で30歳になったばかりのナイジェリアの俊才、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの作品を初めて読んだときは、心地よい驚きがありました。すばらしく切れのよい、心にしみる文章をさらさらと書ける、天性の資質に恵まれた作家がついにアフリカから出てきた、と思ったからです。
 短編集『アメリカにいる、きみ』のためにセレクトしたのは、運よく渡米した少女が異文化のなかで働きながら、恋人に出会い、閉塞感から解放されていく表題作をはじめ、ナイジェリアや米国を舞台にした、心にまっすぐ届く10編です。さまざまな国の人と隣り合わせになる暮らしのなかで、困難な同時代を生きるアフリカ人の声を、肩ひじ張らずに楽しんでもらえる本にしました。
 いま世界文学の先頭を切っている作家です。(2007年9月25日、河出書房新社より発売、1890円)
        東京新聞(10/25)夕刊「翻訳ほりだし物」より
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☆おまけ情報:もっと読みたいと思われる方は、つぎのサイトに最新作が載っています。この作家は、なんだか、ある種のリトマス試験紙みたいな存在になっていきそうな気配です。
My American Jon ←作家の写真も!
REAL FOOD ←これは最新エッセイです。
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